2010/04/23

フォー フォーミー

ぼくは、業務用スーパーが大好き。

プロ用だからとかじゃなくて、大袋の食品が、どんな家庭に買われ、どんな料理になって食されていくのかと思いを馳せるのが好きなのである。
ユニクロが好きな理由のひとつにも、大量生産品とわかっていて買われる製品の哀愁というか運命に思いを馳せるのが好きだからだというのがある。

そんなわけで1kg1700円くらいの鶏ガラスープの元を買うか買うまいか真剣に悩んだりしつつ、殺風景な業務用スーパーに30分ほどいたのであるが、そこで見つけてしまったのだ!

フォー!



このパッケージ、このたたずまいが僕に思い起こさせるのは、湿潤な熱帯のヴェトナムではなく(残念ながら未だ行ったことがない)、
冷たく乾いた空気のフランスなのだ。

在仏時代、お米は美味しいものが手に入らず、フランスパンやパスタに倦んだ時分にはよく中国人街に行ってはアジア食材を買い求めたものだった。

その中でもフォーの乾麺はマストアイテム。週に2,3回は食べてたんじゃないか。
マルシェ(市場)で売っている鶏肉のグリルを切って入れたフォーは、ぼくの自慢料理のひとつ。
日本から遊びに来てくれた友達に振る舞ったところ、彼の帰り際に
「このフランスの旅で一番美味しかったのは作ってもらったフォーだったよ!」
と言われ、嬉しくもあり、複雑でもあった。
はるばるマルセイユまでブイヤベースを食べに行ったり、プロヴァンスの郷土料理なんかも食べたのにね。
今でも彼と会う度にフォーの話になる 笑

そんなわけで、安くてウマい自作フォー。
あたしのフランス留学の成果を発揮すべきは今!と早速作ってみたのだった。
しかしフランス料理はつくれない。なんちゅう留学の成果じゃ。



鶏ガラスープにナンプラーを加えただけの簡素なスープだったが、味はまずまず。
ちょっと、リヨンの「独身寮」という名の狭いアパートの一室を思い出した。
最近、聴覚・嗅覚・味覚はとくに記憶に残りやすい、という話を聞いたのだが、まさにそれ。

11㎡の青いじゅうたん張りのスィズィエームエタージュのあの部屋が、フラッシュバックした。
よく麺類を茹でては食い、茹でては食いしたもんだ。孤独と赤ワインをお供に。


またつくろう。

0 件のコメント:

コメントを投稿