2008/11/15

オオクチユゴイのおもひで

オオクチユゴイ Kuhlia rupestris

you-goi

ちょっとマニアックな魚だけども、少年時代から憧れていた魚だった。
当時の爆発的なブームに乗ってすっかりバス釣り少年だった僕は、毎日飽きること無く魚類図鑑を眺めていた。
そんな中、少年のバイブル、山と渓谷社の「日本の淡水魚」のブラックバスの項目の前に、その魚はいた。

オオクチユゴイ。
その流線型のフォルムと、銀色のまばゆさ。
顔はイシモチっぽくて、どことなくバスを思い出させるものがある。
当時バス以外にルアーで魚を釣ったことはなかったけれど、この魚はルアーで釣れる!とぐっと来たものだった。
沖縄の遠さがゆえ、それ以来ずーっと憧れの魚だった。

図鑑のページを繰ってはオオクチユゴイ、トゲナガユゴイ、ユゴイなどに思いを馳せてたものだった。
地方名をミキューといい、可愛いのもよい。みきゅー。
時たま、釣り雑誌等でその名前をみかけることはあったが、対象魚としてシリアスな特集が組まれることはなかった。
まぁカワムツ釣りの特集が組まれないのと同じようなものだろうか…。
今となってはネットでいくらでも検索できるけど、当時は雑誌以外に遠い釣り場の情報を得るすべもなく。
その意味で、雑誌の特権性ってすっかり無くなっちゃったんだなぁと実感する。
この10年の社会の移り変わりかたはすごく速いのね。

んで、初めて図鑑でその名前を目にしてからおよそ10年、ついに憧れを手にできた。
飛行機で行かねば釣れない魚、ということでは異国の魚と同じと言うことで、
心のどこかではコウタイ(七星魚)、ノーザンパイク(カワカマス)、ヨーロピアンパーチ、
ヨーロッパオオナマズ、メコンオオナマズ、バラムンディ、トゥクナレ、ピラーニャ、スヌーク、クーヘetc...
となんら変わらない夢の魚だったのである。

実際のとこはなかなか繊細な釣りだった。
とにかく警戒心が強いので、川岸に影を落とすとアウト。
非常に慎重に、そろりそろりとアプローチする。渓流釣りの要領。
ただ、気づかれなければとてもアグレッシブな魚でもある。
そっと鼻先にミノーを持っていけば、バツン!とバイトしてくる。
ホソでの、ワイルドフィッシングというところか。
それにしても、未知の魚がかかって、それを手にするまでのひとときのなんと幸せなこと。
沖縄の春の日差しの下で、きらきらと銀色に光るオオクチユゴイに、ちょっと少年時代の夢を噛み締めた。


そんな特別な魚が、オオクチユゴイなんですな。

0 件のコメント:

コメントを投稿